『中国地域5大学連携によるバイオマス意見交換会第1回委員会』を開催しました!
平成23年8月2日(火),中国電力本社会議室において,「中国地域5大学連携によるバイオマス意見交換会第1回委員会」を開催しました。事務局を努める中国経済連合会から,当日の様子を中心に,意見交換会の目指すところや内容をご紹介します。
「新結合プラン」の取り組みのひとつである「中国地域国立5大学連携事業」は,5大学連携により共同研究や情報発信・人材育成などを目指す取り組みで,その活動テーマのひとつに,「大学間連携による共同研究の実施」(事務局:中国経済産業局・中国経済連合会)があります。5大学が共同で研究する取り組みは初めての試みであることから,今年度は研究のニーズ,シーズについて議論し,研究テーマを抽出する意見交換会を行い,平成24年度に共同研究を具体化することを目指しています。
今回,テーマとして「バイオマス」を取り上げたのは,中国地域に豊富なバイオマスについて,大学の多様な知を集め,新たな共同研究を通じて課題解決を図ることで,バイオマス産業の振興と地域活性化に貢献することを目指したものです。
第1回委員会の概要
本意見交換会は,8月以降4回の委員会を開き,共同研究テーマの絞り込みやテーマに応じた推進コアメンバーを固めていく予定ですが,委員会の参加メンバーは,大学・研究機関では5大学のほか鳥取環境大学・産業技術総合研究所中国センター,企業ではバイオマス利活用の川上から川下まで様々な業種から10社,支援機関では中国地域ニュービジネス協議会・科学技術振興機構(JST)・ちゅうごく産業創造センターなど合計22機関で構成されています。
第1回委員会では,わが国や中国地域の木質を中心とした植物系バイオマス利用技術の現状や動向などについて共通理解を持つとともに,意見交換会の方向性や目的について確認することを目的に,基調講演と主査講演を行いました。
○基調講演 《講師:鳥取環境大学 環境情報学部 教授 横山伸也氏》
基調講演は,鳥取環境大学の横山先生から,「わが国の木質を中心としたバイオマス利用技術の現状と導入・普及へ向けた課題」をテーマにご講演をいただきました。
講演では,バイオ燃料の現状と可能性,藻類バイオ利用の研究開発,森林・林業再生をめぐる問題,バイオマス発電技術の動向と課題,バイオマス発電・熱供給のコストと再生可能エネルギー買取制度などについてお話をしていただいた後,今後に向けた提案として,バイオマスを生み出す産業の持続可能性が重要であること,バイオマスを巡っては食料問題とエネルギー問題の両方を考えていく必要があること,森林・林業再生プランによる林地残材の利用促進が重要であること,海洋・微細藻類の利活用も研究すべきであること,国際的な共同研究・開発を進める必要があることなどを示していただきました。
○主査講演 《講師:広島大学 大学院工学研究院 教授 松村幸彦氏》
次に,主査講演として意見交換会の主査をお願いしている広島大学の松村先生から,「中国地域の木質バイオマス等の研究・産業化動向〜本意見交換会の方向性と目的」についてご講演をいただきました。
講演では,バイオマスの種類・特徴とエネルギー変換技術について概観したあと,最近10年間の利活用の動きを振り返っていただきました。次に,バイオマス利用普及への課題は経済性・資源量・発生規模であることを踏まえると,バイオマス利用の将来展望としては「小規模高効率利用」を中心に地域活性化への貢献を目指す方向に可能性があるのではないか,また,「処理規模の拡大,既存の枠組みの中での共処理,システムとしての全体最適化」を考えて経済性をクリアしていくことが必要,というご指摘がありました。
最後に,中国地域でのバイオマス利用について, 中国地域にはわが国でも有数のバイオマス研究開発から利活用までのポテンシャルがあることを踏まえて,今回の意見交換会では,エネルギー利用とマテリアル利用の生産・収集・変換・利用のどこに企業の新たなニーズがあり,またそれに応える5大学および産業技術総合研究所のシーズは何かを明確にして新たな技術開発を行っていくという方向性を示していただきました。
今後の予定
今後は,企業のニーズや共通の技術課題についての明確化,それらに対する大学・研究機関からの研究の提案,それを踏まえた共同研究テーマの絞り込み,という流れで検討を進めていくこととしています。
事務局としては,今回の5大学連携による意見交換会が来年度の共同研究につながり,新たな技術開発に結びついていくよう参加メンバーとともに頑張りたいと思います。
【本件に関するお問い合わせ先】
中国経済連合会 小泉
Tel : 082-242-4511