参加機関活動レポート

『全国コーディネート活動ネットワーク 第2回中国四国地域会議』に参加しました!

 平成23年9月12日(月)・13日(火),鳥取大学において,『全国コーディネート活動ネットワーク第2回中国四国地域会議』(主催:文部科学省・財団法人日本立地センター,幹事校:国立大学法人 鳥取大学)が開催され,中国地域のコーディネータを中心に産学官連携の関係者,約50名が参加しました。本会議は文部科学省による産学官連携支援事業の一環で,全国を6地域に区分し,各地域においてそれぞれ年3回の会議を開催しています。会議では各大学から提起のあった課題や問題点につき意見交換を行い,各種情報を共有することで今後のコーディネート活動に資することを趣旨としています。会議の1日目は,国の産学官連携に関する制度・施策の紹介や講演,参加者による意見交換会を行い,2日目は,コーディネータによる設定課題に関するグループディスカッションを行いました。
 会議に参加した中国経済連合会より,当日の概要をご紹介します。

<一日目>

◆文部科学省施策説明 〜コーディネータへの期待と人材育成〜
   (文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課長  池田 貴城 氏)

 コーディネータは全国で約1,700名近くが登録されているが,これまでの活動で蓄積された成果を踏まえ,更なる活動の強化が期待されている。特に若手や後継の育成のためには,「コーディネート活動に必要な資質や能力の見える化」,「組織的なコーディネート活動による個人のノウハウの共有化」,「若手人材の新たな活躍の場としてのアピール」などについて,現場で活動する人の幅広い事例や意見を集約して整理する必要がある。またリサーチ・アドミニストレータ(研究の行政手続のみでなく,研究活動の企画・マネージメント・成果活用促進まで,従来のコーディネータより幅広い活動を担う)の育成・確保するシステム整備も進めていく予定。

◆経済産業省施策説明
   (経済産業省 産業技術環境局 大学連携推進課長  進藤 秀夫 氏)

 産学官連携の推進には,「社会的課題の解決」,「産学官が共同で研究する場の設定」,「各省の連携」の視点から施策が実施されている。具体的な施策例としては,
  ・産学官連携による課題解決型研究開発プロジェクト(各省連携による大型プロジェクト)
  ・産学官が結集する研究開発拠点,性能・安全性評価拠点の構築(つくばイノベーションアリーナ等)
  ・研究開発拠点と大学院機能の連携(つくばイノベーションアリーナにおける連携大学院構想 等)
  ・地域の産学官連携拠点の形成(全国30箇所)
  ・産学連携型の実用化支援事業  などがある。
 今後の政策の方向性としては,「産学ともに連携のインセンティブが働く仕組み作り」,「連携の評価尺度の見直しと多様化」,「研究拠点の活用や人材流動化を念頭に置いた施策の検討」などを基本的発想として検討する。

◆講演 〜産学官連携の実情とこれから〜
   (株式会社日経BP 医療局主任編集委員  宮田 満 氏)

 産学官連携活動が盛んになって20年近くが経ち,連携の状況は量的には伸びているが,質的には十分とはいえない。例えば,国内の製薬業界は,薬品の特許切れなどによって,現在厳しい状況の中にあるが,大学のバイオ研究の成果が産側に十分反映されなかったことが,今日のバイオ医薬開発の遅れに繋がっているのではないか。
 こうした中で,産学官連携が今後成功するためには,連携の成果を金額だけで評価するのではなく,社会が抱える問題を解決したかどうかといった大きな尺度で見る必要がある。また,技術革新や研究の加速は,産学両方がwin-winとなるように追及すべきであり,知的財産については大学は権利の確保よりも産業界に使って貰うことに主眼を置く必要がある,さらにはイノベーションを起こすには国際的視野に立つことが求められるなど,数々の貴重な意見を戴いた。

◆幹事大学産学官連携活動報告 〜地域と共に歩み、あなたの夢を形にします〜
   (鳥取大学 産学・地域連携推進機構長  菅原 一孔 氏)

 鳥取大学から,産学官連携体制,共同研究・特許出願件数の状況,地域(自治体、金融機関)との各種連携協定,さらには産学の組織体である「大学振興協力会」など,全般的な活動状況の説明があった。

◆意見交換会  −内容省略−

<二日目>

◆グループディスカッション

 「コーディネータの継承問題」を議論した。まず,講演「若手コーディネータの継承にむけての課題」柴山耕三郎氏(関西大学 社会連携部 産学官連携コーディネータ)に次いで,グループに分かれて上記課題を討議し,各グループの結論をまとめた。

(主な意見)
○コーディネータの身分,収入を安定させる必要があり,能力評価・資格制度の確立や大学の正規職員としての雇用制度の見直しが必要。若手コーディネータに対しては,夢のある将来像を持てるような制度,しくみを検討するべき。
○コーディネータの大学,地域に対する貢献度や重要性を積極的にアピールする必要があり,また成果を評価する制度作りも重要。
○シニアコーディネーターは若手コーディネータを育成するためのしくみ作りやマニュアル作りを行う。若手コーディネータは問題意識を持ち,積極的に人脈作りや研究員の研究内容の理解を行う。またコーディネータは制度・規約に縛られず,1機関を超えた広域的に活動できるシステム作りも必要。

(中国経済連合会 都留)